ツリークライミング
専用のロープやサドルを利用して木に登り、木や森、自然との一体感を味わうこのレクリエーションは、もとは樹上で仕事をする専門職の技術を応用して、アメリカで始まったもの。「クライミング」という言葉がついているためか、ツリークライミングは、スポーツやエクササイズという先入観を持たれやすいようですが、日本で普及が始まった2000年以降、老若男女が参加可能な、自然を大切にする「心」が育っていくプログラム技術として発展してきました。
樹の上では、誰もが不自由なもの。だからこそ、何かを感じるきっかけになる。親子で登れば、自ずと普段とは違うコミュニケーションがあります。最初はうまく登れなかった子が、親のサポートで、とうとう地上6mほどの高さに設置したツリーボート(樹上用ハンモック)にアクセスできたということがありました。その達成感は、親子の信頼関係において、かけがえのないものではないでしょうか。また、初めての時には、登るのに一生懸命でその爽快感で十分楽しんだ子が、次の回では登る途中でセミの抜け殻を発見したり、そのままその高さでしばらく登るのを止めて苔を観察したり、ということが起きてくる。ケヤキの実を発見して、これがどのように飛んでいくのかに関心を示したり、色づき始めたエノキの実を手にとってみたりする子が出てきました。季節ごとに木の中の世界は変わり、時間帯によっても光の感じ方が変わってくる。その意味では、専用の器具などを利用して「木と過ごす時間」を楽しみ、回数を重ねることでじわじわと楽しみ方が広がるレクリエーションなのかな、と感じ始めています。そして「木と過ごす時間」は人それぞれ。その人その人にあったサポートを心がけたいと思っています。