焼畑文化
一般社団法人ほらじゅうが拠点とする早川流域は、近代まで広く焼畑がおこなわれていました。山菜採取や狩猟など、かつては山との関わりが現在よりも深かった地域です。高齢ではありますが、焼畑実践経験のある住民も多く存在しています。
「焼畑文化プロジェクト」は、伝統的な農法を懐古的に保存していくことを目的としているのではありません。豊かで強靭な食文化、自然畏怖の信仰や風習、森の再生や脱化石燃料依存といった、山村に根付いていた地域資源の循環利用の象徴として「焼畑」を捉え、今後の地域づくりの〝根っこ〟を総合的に探っていこう、という取り組み。閉ざされた印象の強い山村ですが、意外な外部地域とのつながりも、「自律性」の高い暮らしぶりも、細々とでも引き継がれている愛らしい民俗風習にも、焼畑文化にルーツがありそうです。活動の一環として、2023年には、早川流域で栽培されていた在来の雑穀の増殖・保存・継承にも乗り出しました。伝統的な、焼畑地でのアワ栽培や、他の種も十分にタネが確保できるようになったら、シードバンクのようなことや、特産品作りにも取り組んでみたいと夢膨らみます。
全国的にもわずかながら、焼畑をおこなっている地域も存在し、連携が始まっています。本プロジェクトでは、地域での焼畑の本格的な復活も視野に入れ、2023年には早川町奈良田集落の山で、夏焼きでの焼畑実践が実現しました。2023年に火入れをした山畑には、翌2024年には地域の伝統に倣って在来のウルチ粟を播種、別の土地で新たに夏焼きでの焼畑実践が取り組まれています。
実は環境にとても良い効果をもたらす焼畑。現代は「自然保護」ということが生活と切り離されているきらいがありますが、ですが元々は、暮らしの中に、自然保護が担保されるような経済であるとか、生活技術や行動規範、つまり文化があったのではないでしょうか。文化としての自然保護、自然保護という文化の復権にも寄与していきたいものです。今後の展開にご期待ください。